イツキはただいま天中殺真っ只中なのです。
天中殺がどういう期間なのか、この時期はどういうあり方が良いのか。その素晴らしい例を見つけました。
漫画『HUNTER×HUNTER』の1シーンであり、アイザック・ネテロという人間が、人類最強となった背景を端的に表したエピソードです。
己の肉体と武術に限界を感じ悩みに悩み抜いた結果
彼がたどり着いたさきは
感謝であった自分自身を育ててくれた武道への限りなく大きな恩
自分なりに少しでも返そうと思い立ったのが一日一万回
感謝の正拳突き!気を整え 拝み 祈り
構えて 突く一連の動作を一回こなすのに当初は5〜6秒
一万回を突き終えるまでに初日は18時間以上を費やした突き終えれば倒れるように寝る
起きてまた突くを繰り返す日々2年が過ぎた頃 異変に気づく
一万回突き終えても
日が暮れていない齢50を超えて
完全に羽化する
感謝の正拳突き一万回
一時間を切る!!
かわりに 祈る時間が増えた
山を下りた時に
ネテロの拳は音を 置き去りにした
『HUNTER×HUNTER』25巻
この世界が仮に現実と同じ時間軸だったなら、この2年間はネテロの天中殺だったんでは…?
などと思うくらいに、天中殺期間をあり方をよく表したエピソードだなと思いました。

天中殺は、12年のうち2年間やってきます。
12年というのは、人が現実世界の中で生きていく1サイクルです。
10年間が現実と向き合って進んでいく時期で、その後の2年間は空白、お休みであり、現実から一歩引いて精神性を高め、これまでの整理をつけていく段階です。
その2年の充電を経て、今までとは別のテーマを胸に、新たに次の10年を進んでいくのです。
漫画のネテロは、自分自身の限界や行き詰まりを感じ、たぶん色々やっていた現実でのあれこれを全て捨てて、山に籠りました。
余計な雑念を排除し、自分に向き合い、これまでの自分を作ってきた武道に立ち返り、他の誰でもなく自分のために、感謝し、ひとつひとつはごく単純な正拳突きを毎日一万回、2年間やり続けたという話です(作中では、2年よりも更に長い時間、正拳突きのみに没頭したことが描写されています)
天中殺の処し方も、一番良いのは自分自身に向き合い振り返ることです。
漫画では「感謝」もキーワードになっていますが、それは自分自身の過去と向き合い、正面から整理をつけていくという姿勢です。
たぶん、ネテロの気持ちは、この時にはもう強くなりたいとか、更に武道を極め抜きたいという気持ちは一切なく、欲や願望、未来への希望や目的なども考えず、自分がそうするべきだという理由だけで、ただ目の前の一発を打ち続けました。
普通の人なら苦行であり、馬鹿馬鹿しくてやらないようなことでも、現実から距離が離れていくこの時期にはそういうことができます。
無意味に思えるような繰り返しの中に自分だけのエッセンスが眠っているかもしれません。
「自分自身がやり続けた、至極単純な正拳突き」というそれ自体は簡単で、考えなくてもできることをやるというのも天中殺に向いています。
天中殺は受け身で、自分で考えて動かない方が良いと言われますが、このような無我、無心で単純な動作を日々積み重ねる姿勢が参考になります。
実際にこういうことをやれる人はそうそういませんが、そのような時期が現実では天中殺にあたります。
2年間というのも、休み、自分に向き合うにはベストなのかもしれません。
現実で頑張っている人、うまくいっている人ほど天中殺の2年間は落差が大きくなります。
この期間に、何かしらの自分にとっての限界を感じ、悩みに悩み抜く期間です。
これまでを振り返る機会が与えられます。それは人によっては、籠りたくないのに山に籠らせられるような、もっと頑張れそうなのにうまくいかないような、そんな苦しさが出るかもしれません。
そこで自分の原点に帰り、感謝をもって日々を生きる、そんな気持ちでいましょう。

感謝の1日1記事!!