60ある干支の中で、
上の天干と下の地支の組み合わせが自然な
組み合わせではない『異常干支』というのがあります。
その特殊な組み合わせと言われる異常干支は13あり、
そのうちの7つは、
天干の干支と地支にある干が干合している組み合わせで、
『暗合異常干支』と呼ばれます。
この異常干支に分類されるものが、
どういう仕組みで異常な性質を持つのか。
それを持つ人がどういう性質を持つのかを
順番に書いていきたいと思います。
前の記事で、
異常干支は地支によって偏りがあることを書いたので、
地支ごとに分けて異常干支の性質を書いていきます。
今回は、『巳』の地支をもつ異常干支を書きます。
巳の地支をもつ異常干支
巳の地支を持つ干支は
己巳・辛巳・癸巳・乙巳・丁巳があり、
異常干支は辛巳・癸巳・丁巳の3つです。
そのうち辛巳・癸巳は暗合異常干支と呼ばれます。
地支『巳』は、季節は夏の始まり。
時刻でいうと9:00〜10:59のあたりです。
方位は南南東で、太陽の輝きがどんどん増してくる
方角と時間帯です。
働き始める時間帯で、人も活発に動きます。
五行で言えば巳は火の行にあたり、熱く明るい。
次の地支の『午』と合わせて、
最盛期という意味と様子があります。
地支の全盛期を迎えると、
人は文化芸能や芸術方面に力を入れ始めます。
その代わり、物質や経済面への関心が薄くなります。
辛巳
『辛』という干は、十干の中では宝石を表しています。
同じ金の行では庚と辛がり、これはどちらも鉱物です。
強く頑丈で、武器や工具などに使われるのが庚。
それに対して辛が表すのは、
宝石やアクセサリー、装飾としての価値です。
鍛えられる庚に、磨かれる辛。
どちらも人の手による研磨が大切です。
そんな宝石を意味する辛に大切なのは、
特別であること。
一部でもいいので、価値のわかる誰かに見出され、
オンリーワンであることです。
磨かれた辛の人には、気品が宿ります。
しかし異常干支である辛巳は、
その辛の出方が極端に、普通と違う形で表れます。
地支『巳』はにぎやかな場所。
物質的な全盛期でもあります。
多くの人が行き交い、活気がある場所で輝く宝石
という感じでしょうか。
「にぎやかで注目される場にいることが当たり前」
という魂を持っており、
豊かで品のある家庭環境にいることが
心の状態としては自然です。
上流階級の心と気品を生来持ちます。
逆に、経済的に貧しいと異常性が出ると言われています。
この干支は、辛の気品と巳の恵まれた場所を
拠り所にするという性質によって、
悠々と精神的な分野に注力したり、
学問芸術を深めたりということに向いています。
学問や芸術分野というのは、家系や基盤が
経済的にもしっかりしていて、その上で取り組むのが
一番良いあり方です。
貴族的というか。
文化・芸術面は経済・物質面で恵まれた上で、
心を豊かにして世に還元するのが自然です。
困窮していたり、お金に執着していると
そういう余裕はなかなかありません。
庶民的な家庭に育ったり、そういう結婚をしたりすると
「貴族が庶民に落ちぶれた」
みたいなイメージになります。
世の中を力強く逞しく生きる力が不足している
傾向があります。
そういう場合、辛巳はとにかく
心強い味方、後援者を作りましょう。
自分を支えて、辛という宝玉を大切に扱ってくれる
環境を大事にすることです。
癸巳
『癸』という干は、十干の中では静水を表しています。
止まっている静かな水。泉の水。コップの水。
シトシトふる雨もそうですね。穏やかな恵みの水。
人の生活にも、あらゆる生き物にも、
作物の育成にも欠かせない水や水源です。
同じ水の行でも、動く水で、海や大雨を表す壬は
押し流すくらいの力を持ってて、濁りもあります。
でも癸の静水は、
その環境によって澄むことあれば濁ることもあり
いくらでも形を変えます。
どんな環境にも適応しますが、
何にでも染まってしまうという性質です。
本来は無色透明。
人や社会にも中にもゆっくり優しく溶け込みます。
しかし異常干支である癸巳は、
その癸の出方が極端に、普通と違う形で表れます。
環境によって形を変える癸がどこに自分の在処があるのかは、
地支によっておおよそ知ることができます。
癸巳にとってそれは『巳』の場所。
にぎやかで多くの人が行き交い、
また学術や芸能などの文化的交流も盛んな場です。
上にも少し書いたのですが、
家や基盤が経済的にもしっかりしていて、
その上で取り組むのが芸能芸術といった分野です。
これを家と男女の役割で考えると、
家を経済的に豊かにし、物質的に富ませるのは
基本的に男性です。
それによって家が潤い、経済的に強くなった中で
学問や芸術、ほか家の中を精神的に潤わせていくのが
女性の役割です。
スタンダードな家庭の成り立ちと繁栄はこうです。
しかし地支に『巳』を持つと、
魂の設計図的にはすでに繁栄した、
物質欲を満たした後という位置付けになります。
物質よりも精神の成熟に重きを置きます。
1人ならそれでなんてことはないのですが、
結婚をして家庭を持つ場合、異常が出やすくなります。
特に女性がこの干支を持つと、
経済の担い手である相手の男性側にそれが表れます。
この場合は、子供を持たなかったり、
家そのものの繁栄や発展をあてにしないなどがあります。
結婚しなければ異常は出ないとも言われていますね。
また、学問や芸術、華やかな世界に自分が身を置く
ことにかけては癸巳は強い適性があります。
感性・感受性を生かした世界がベストです。
